スキーを楽しむために欠かせない道具のひとつが、ストック(スキーポール)です。
スキー板やブーツと比べると、あまり注目されない道具かもしれませんが、ストックはターンのリズムをつくったり、平らな場所や緩斜面で前に進んだりするときに活躍します。滑りやすさや操作性にも関わるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
スキーストックには、軽量なカーボン製や耐久性に優れたアルミ製があり、長さを自由に調整できる伸縮タイプもあります。また、アルペンスキーとモーグルでは適した長さが異なるなど、滑るスタイルによっても選び方が変わります。
では、初心者はどのようなストックを選べばよいのでしょうか?
この記事では、スキーストックの役割や種類、材質による違いを解説します。さらに、身長や滑走スタイルに合わせた長さの選び方、おすすめのメーカー・製品も紹介します。
初めてストックを購入する方や、今使っているストックを買い替えたい方は、ぜひ参考にしてください。
ストックが果たす役目とは?
ストックが果たす役目はいろいろあります。主な役目を以下に挙げてみます。
ターン中
ターンのきっかけ、リズムを主導するために使います。
まっ平らな所や登り斜面
スキーは平らな場所や登り斜面では前に進みません。
前に進まない状況下ではストックを突いて進みます。スケーティングという滑り方でも前に進むことはできますが、初心者には難しい方法です。なので、平らな場所、登り斜面ではストックは大活躍します。
リフト待ち
リフト待ちで混雑している場合、少し前進したり、緩い下り斜面で前の人にぶつからないようにその場に停止していたい場合があります。少し前進したい場合、斜面でその場で停止したい場合にストックが活躍します。
ストックを持たないで滑れるか?
ストックを持たないで滑る事は可能です。ストックを持たないで滑るスタイルを好む人がいますし、ストックを持たずに滑る練習法も存在します。
ただ、上記に当てはまらない場合には、ストックを持って滑る方が無難です。
■スキー競技によるストックの長さの違い
実は適性なストックの長さはスキーの 競技・種目・滑走スタイル などによって変わってきます。
たとえば、アルペン競技では、身長170cmの男子だと115~120cm辺りのストックが平均的な長さです。
しかし、モーグル競技では同じ身長の170cm男子が使うストックは、100cm~105cmとアルペンよりもずっと短い長さが使われます。
なぜなら、モーグルとはコブを滑り降りる競技ですが、ストックを突くタイミングがコブの凸を吸収したやや後になります。すなわち、膝が曲がり低い姿勢の時にストックを突くため、アルペン競技の長さだとうまく突けないか、突けてもコブに弾かれバランスを崩してしまうのです。
基礎スキーは、アルペン競技とほぼ同じ長さのストックが使われますが、競技種目によってストックの長さを微妙に変更している場合もあります。
具体的には、大回りでは長め、小回りでは短めと調整される傾向があります。
■ストックの種類
材質
ストックに使われる材質は主にカーボンとアルミニウムがあり、それぞれの特長は表の通りです。
| メリット | デメリット | |
| カーボン | 軽い | アルミニウ ムと比べる と高価な 傾向がある |
| アルミニウム | 重い ただし、 ハイエン ドモデル は軽い | カーボンと 比べるとリ ーズナブル |
機能
スキー用のストックには長さが一定である固定タイプと長さを変えることのできる伸縮性機能が備わっているモデルがあります。
アルペン系競技スキーやモーグル競技では固定タイプのストックを使う人が多いです。これは、ほとんど同じバーンを同じ滑り方で滑走するので、競技者にとっては一度ストックの長さを決めたら、ほとんど変える必要がないためです。
その一方で、圧雪・深雪・コブなど、いろいろなバーンを楽しみたい場合は、伸縮性機能を使ってバーンに合わせてストックの長さを調整できると、滑りやすさがアップします。
他に、スキーのストックはストラップを手首に回した状態でグリップを握りますが、転倒時など衝撃があったときにストラップが自動的に外れ、ストラップから受ける手首へのダメージを弱める機能が備わっているモデルがあります。
有名なメーカー・ブランド
スキーのストックは国内外の様々なメーカー・ブランドが製造しています。
ストックを専門的に開発・製造している有名なメーカー・ブランドを紹介しておきます。
国内では、シナノ、キザキ、がストック・ポール専門のメーカーです。
海外ブランド・メーカーでは、LEKI(レキ)やSCOTT(スコット)が有名です。
ストックの選び方
(1)ストックの長さの基準
スキーストックを選ぶときには、まず自分がどんな競技・雪面の状況でスキーをやろうとしているのかで選ぶべきストックがかわってきます。
アルペン も モーグル も 基礎スキー も 整地 も 深雪 も 滑ってみたいという場合には、伸縮性機能のストックが断然おすすめです。
モーグル初心者の方で、自分がしっくりくるストックの長さがよく分からないという場合にも、伸縮性機能のストックがおすすめです。伸縮できないストック(=長さ固定タイプ)でも物理的に切断すれば長さを縮めることでの調整は可能です。
しかし、ゲレンデのその場では変えられないことや、短くはできても逆の長くはできないので、やはり伸縮性機能のあるストックの方が都合がよい点が多いです。
逆に、伸縮できないストック(=固定タイプ)は、自分の滑るスタイルが決まっていて、費用をなるべく抑えたい場合におすすめです。
補足すると、固定タイプのストックは、シャフト部分を切断することで短くして長さを調整することは可能です。固定タイプのストックを使ってみたものの、長すぎて引っ掛かる感覚がある場合、スキーショップなどでシャフト部分を切断して短くする加工をしてもらえます。ただし、いったん短くし過ぎてしまった場合、元には戻せない(カットした部分をつなげられない)ため、注意が必要です。
さらに、グリップの取り付け方によってはシャフト部分を切断できないモデルもあります。
下記の表は、身長別に、固定タイプの場合と伸縮式ストックの場合の基準となるストックの長さを示しています。固定タイプの場合には「アルペン・基礎スキー・深雪 etc.」と「モーグル・ハーフパイプ etc.」、「オールラウンド」の3種類でストックの長さを分けています。
「アルペン・基礎スキー・深雪 etc.」では「身長×0.68」を標準的なストックの長さとしています。「モーグル・ハーフパイプ etc.」では「身長×0.61」を標準的なストックの長さとしました。
「オールラウンド」はどんな滑り方、雪面であっても一番マッチしやすい長さという位置づけで「身長×0.65」を標準的な長さとしています。
伸縮式ストックは、モーグル・ハーフパイプの長さマイナス3cm から アルペン・デモ・パウダープラス3cmまでの長さが入る範囲を示しています。
ただし、下記の表は目安であり、各々の滑走スタイルやストックワークによって微妙に最善の長さは変わります。そのため、自分の好みにあった長さに合わせる微調整が必要です。
表:身長別の固定タイプ・伸縮式ストックの長さ
| 身長(cm) | 固定タイプ | 伸縮式 ストックの長さ |
||
| アルペン・基礎・ 深雪 etc. (身長×0.68) |
モーグル・ ハーフパイプ etc. (身長×0.61) |
オールラウンド (身長×0.65) |
||
| 130 | 88 | 79 | 84 | 75-95 |
| 135 | 91 | 82 | 87 | 80-95 |
| 140 | 95 | 85 | 91 | 80-100 |
| 145 | 98 | 88 | 94 | 85-105 |
| 150 | 102 | 91 | 97 | 85-105 |
| 155 | 105 | 94 | 100 | 90-110 |
| 160 | 108 | 97 | 104 | 95-115 |
| 165 | 112 | 100 | 107 | 95-120 |
| 170 | 115 | 103 | 110 | 100-120 |
| 175 | 119 | 106 | 113 | 100-125 |
| 180 | 122 | 109 | 117 | 105-130 |
| 185 | 125 | 112 | 120 | 110-130 |
| 190 | 129 | 115 | 123 | 110-135 |
| 195 | 132 | 118 | 126 | 115-140 |
| 200 | 136 | 122 | 130 | 115-140 |
(2)材質
スキーポールの材質は、大きく「カーボン」と「アルミ」の2種類があります。
傾向として、カーボンは軽量でアルミはやや重い印象で、価格はカーボンの方が高くなります。
(3)伸縮性
スキーポールには、(1)で解説したとおり、伸縮可能なタイプと、そのままのタイプがあります。
伸縮の構造は各メーカーのポールで微妙に異なりますが、ロックをはずして長さを調整し、調整したらロックを締める、という使い方になります。
伸縮機構があるスキーポールは滑走中に急に縮んだり、折れたりと強度や安全性に不安を持つ方もいらっしゃいます。個人的には日本メーカーの製品であれば、想定外の荷重がかからない限り、不具合は起こりにくいと思いますし、今までそうした場面に遭遇したこともありません。
そのため、あまり心配は不要と思います。
使い勝手は、伸縮可能な方が良いです。スキーの斜面によって、微妙に長さを調整したい場合や、登山にも使いたい場合などは伸縮可能な方が重宝します。
(4)振りやすさ
一般的にストックは長いものより短いものの方がシャープに振ることが出来ます。
さらに、同じ長さのものでも重心がやや高い位置である方が振りやすいです。
太さは太いものより細いものの方がシャープに扱えます。エキスパートモデルや高価なモデルは、重心がやや高い位置に調整され、振りやすさまで追究されているタイプが多い傾向があります。
メーカー・ブランド別のおすすめ製品
スキーのストックは国内外の様々なメーカー・ブランドが製造しています。ストックを専門的に開発・製造しているメーカー・ブランドを中心に紹介していきます。
個人的には、スキーのシチュエーションにあわせて長さを調節できる伸縮タイプがおすすめです。
国内メーカー・ブランド
国内のスキーストックメーカーは「シナノ」「キザキ」が有名です。
日本製のスキーポールは品質が良いので、安心して長期間使用したい場合におすすめです。
シナノ
国内シェア№1のストック・ポール専門メーカーです。
スキー用のスキーポールを初め、登山用のトレッキングポール、トレラン用ポール、ウォーキングポール、高齢者用ステッキなど幅広い製品を開発しているメーカーです。
本社は、長野県佐久市、創業は1919年(大正8年)の老舗メーカーです。
シナノ スキーポール フリーX AL 伸縮式
伸縮機能のあるアルミ製のリーズナブルなスキーストックです。長さ(cm)は、100~123 の調整が可能です。
シナノ CX-LIGHT カーボン
シナノ フリーX CB 伸縮式
シナノ FREE FAST-α 伸縮式
振りさすさ、耐久性を追求した伸縮性のあるスキーストックです。材質にアルミとカーボンを組み合わせ、軽さと強度を兼ね備えたフラッグシップモデルです。
シナノ フリーSV-LT 伸縮式
キザキ
こちらもストック・ポール専門メーカーです。
スキー用のスキーポールを初め、登山用のトレッキングポール、歩ミングポールという独自の特許を取得したウォーキングポール、高齢者用ステッキを開発しているメーカーです。
本社は、長野県小諸市、創業は1961年(昭和36年)です。
キザキ スラローム KPBD-6000
キザキ シルビックTLアルミ / KPBF-9010 伸縮式
キザキ トレジャー カーボン / KPBE-9100
キザキ バリアス TL14 KPBF-9001 伸縮式
キザキ パウダーTL / KPBF-9091 伸縮式
海外メーカー・ブランド
LEKI(レキ):ドイツ
スキーポールに先進的な機能を開発しているストック・ポール専門のブランドです。
LEKI(レキ) NEOLITE
LEKI(レキ) SPITFIRE VARIO 3D
SCOTT(スコット):スイス
スキーポールを初めとしたスキー用品と自転車用品を開発しているスポーツ用品メーカーです。
SCOTT(スコット) SEA Poles
スキーに行くときに着るアウターをAmazonや楽天市場で購入することも良いですが、アウトドア用品専門のECショップの方が、専門用品の数が多く、好きなカラーやデザインのアイテムが手に入りやすいです。
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