はじめて山に登る(登山する)と決めたら登山靴の前に「靴下」を用意しましょう。
登山において登山靴は大切なアイテムのひとつです。
しかし、登山靴よりもまず先に靴下を用意するべきです。その理由と登山用靴下の特長や選び方を解説いたします。
本記事は最もオーソドックスな丈の長さである「ふくらはぎ丈」の靴下のおすすめを紹介します。
■なぜ、登山靴より靴下が先か?
その理由は、登山靴を試着するときに実際の登山で使用する靴下を着用した試着でないと、靴の試着の意味が半減してしまうからです。
登山用の靴下は厚みがあり、膝したまで覆われます。
そうした登山用の靴下といわゆるカジュアルソックスでは、靴とのフィット感がまるで違います。そのため、カジュアルソックスで登山用品のお店に行き、登山靴を試着してしまうと、後から用意した登山用靴下ではフィット感が変わってしまうのです。
特に、カジュアルソックスより登山用靴下の方が生地が厚いので、フィット感が窮屈となってしまうでしょう。かと言って、試着したカジュアルソックスで登山に行くと、汗を吸ってくれなかったり、足にマメができやすくなったりといったマイナス要素が出てきてしまいます。
だから、登山靴よりもまず先に靴下を用意しておく必要があるのです。
■登山用の靴下とは?
カジュアルソックスやスポーツソックスと登山用靴下は素材や機能が異なります。具体的な登山用靴下の特長を解説していきます。
生地に厚みがある
クッション性を高めるために生地に厚みがあります。足の皮膚が靴にあたってマメができるのを防いでくれる効果もあります。
製品によっては、薄手、中厚手、厚手と厚みの異なるタイプが展開されている場合があります。クッション性のほかに、靴と足の隙間を埋めてくれフィット感を高める役割もあります。
吸汗速乾
登山はたくさんの汗をかくアクティビティです。靴の中も例外ではありません。そのため、汗をすばやく吸って、吸った汗を乾かす性能を持っている製品がほとんどです。
吸汗速乾性能が劣ると、ムレやベタつき感の原因になります。さらに、皮膚が湿るとマメの皮が破けやすくなってしまいますので、それを防ぐ役割もあります。
適度な締め付けで血行を促進し疲労を軽減
足の土踏まずやふくらはぎを適度に締め付けて血行を促進し疲労を軽減してくれる機能を持った製品があります。
抗菌、防臭
登山では1日歩き続けるため、足のニオイが気になるところです。登山用の靴下には抗菌、防臭加工が施されています。
足の指を刺激する軍足タイプもある
好みが分かれるところではありますが、軍足のように足の指が分かれているタイプもあります。
靴の中で足の指が自由自在に動かせ、足の指と指の間の汗を吸ってくれる効果もあるので、足の指がデリケートな人にはおすすめです。
コーディネートのバリエーションとして
登山靴は何足も持つことは難しいですが、靴下なら何足か用意して、コーディネートのバリエーションとして楽しむことができます。
■登山用靴下を選ぶときのポイント
素材に注目する
登山用の靴下は、ポリエチレンやナイロンなどの化学繊維と天然繊維のウール(メリノウール)が混紡された製品がほとんどです。
メリノウールは汗で濡れても暖かさを感じる性質があり、天然の防臭効果があります。この防臭効果は防臭加工された化学繊維よりも優れている傾向があります。ただし、登山用のメリノウールは高級な素材であるため、高価です。
化学繊維はメリノウールよりも安価ですが、人工的な素材です。化学繊維は、抗菌、防臭加工が施されていても、防臭効果はメリノウール製品よりも劣る傾向があります。
生地の厚みに注意
登山用の靴下は通常は厚みのある生地でできています。メーカーによっては、薄手→中厚手→厚手と3タイプの厚みをラインナップしている場合もあります。
通常の登山では、中厚手、厚さ5㎜を選びます。冬登山や冷えやすい体質の場合は厚手、逆に夏場の登山などで足に大量の汗をかきやすい場合は薄手を選択候補に入れます。
サイズ選び
自分の足の大きさにジャストフィットするサイズを選ぶようにします。大は小を兼ねると言って大きめを選んでしまうのは間違いです。大きめのサイズだと余った生地が登山靴とのフィット感を邪魔してしまいます。
悩むのはちょうど区切りのサイズの場合です。
たとえば、M:24〜26、L:26〜28のようなサイズ展開の場合で、足の大きさが26㎝のときは、M:24〜26 を選ぶ方がおすすめです。なぜなら、靴の中で余分な生地がなくなり、足と靴がフィットしやすいからです。
丈の長さ
登山用靴下において丈の長さはふくらはぎ程度まである丈がベストです。理由はハイカットの登山靴でも、ローカットの靴でも対応ができるからです。
ですが、ここは好みが分かれるところなので、少なくとも靴の最上部よりも丈が短い靴下を選ばないようにすれば大丈夫です。
登山用の靴下の中で最もオーソドックスな丈の長さが「ふくらはぎ丈」です。この丈であれば、どんな登山靴でも対応できますし、季節も厚手でなければオールシーズン履くことができます。丈の長さで迷うことがあれば、ふくらはぎ丈の靴下をおすすめします。
丈の長さがもっと長い靴下についてはコチラの記事でまとめています。
次に、ふくはらぎ丈のおすすめ靴下を紹介しています。
■おすすめの登山靴下(ふくらはぎ丈)
メーカー・ブランド別におすすめの登山靴下を紹介します。登山用の靴下で最もオーソドックスで、製品のバリエーションが多い「ふくらはぎ丈」の靴下を集めました。
Smartwool(スマートウール)(アメリカ)
メリノウールを使ったアウトドア用の靴下を専門に製造しているメーカー・ブランドです。靴下以外の製品もありますが、靴下を専門的に開発、製造している珍しいメーカーでもあります。
登山用だけでなく、ランニング、自転車、旅行、スキー・スノーボードなどのアクティビティの靴下も製造しています。
クッション性能のレベルにより、ゼロ・クッションから、マキシマム・クッションまで6段階あります。
登山で使うなら、ライト・フル・エクストラのクッションが適しています。エクストラの上にマキシマムがあり、最上級のクッション性がありますが、靴下の厚みで登山靴のサイズにあわない可能性もあります。
キャラバン(日本)
登山靴の開発・製造をしている日本のメーカーです。創業は1954年(昭和29年)で、「キャラバンシューズ」と呼ばれる登山靴を製造していました。
その後、ウェアやバッグ、トレッキングポールや登山用靴下なども手掛けていくようになります。
もともと登山靴の開発を得意としてるメーカーなので、靴下も日本人の足にあう製品を作っています。
Icebreaker(アイスブブレーカー)(ニュージーランド)
ニュージーランド産のメリノウールが持つ利点を活かしたウェアや帽子、靴下やアクセサリーを開発・製造するブランドです。
メリノウールは羊から採れる天然素材で、暖かく、雑菌がつきにくいなどの様々な利点があります。
ニュージーランドでは羊毛生産が盛んに行われており、恵まれた自然環境と長年の羊毛技術が組み合わさり、ニュージーランド産のメリノウールは特に品質が高いと言われています。
メリノウールの素材が好きで、品質にこだわる人におすすめのメーカーです。
ファイントラック(日本)
ファイントラックは日本のアウトドアメーカーです。
繊維製品であるウェア類に強く、新しい発想の製品を開発・製造しているベンチャー的なメーカーです。
千代治のくつ下(日本)
兵庫県にある靴下を専門に開発・製造するメーカーです。
綿以上の吸湿・速乾性を持つ素材「ドラロンウール」が使われていて、足裏部分が厚手に作られているなど、シンプルながら登山に必要な機能を取り入れた製品になっています。
千代治のくつ下の最大の特長はカラーバリエーションが豊富なことです。
なので、自分の好みが特殊なカラーでも、気に入る色を見つけやすいと思います。
注意点は、綿を使っている製品もありますが、汗をかく登山では乾きにくい綿は不向きなケースが多いです。
そのため、綿を多く使っている製品は避けて選んだ方がよいでしょう。