上高地は、年間120万もの人々が訪れる北アルプスの登山口、信州随一の景勝地として知られています。
上高地のおすすめのハイキングコースは、大正池を起点として、梓川周辺を歩くコースです。大正池の標高が1,490mで、コースの最上部の明神館は標高1,530mと、高低差が40mと少なく、初心者でも無理なくハイキングが楽しめるコースになっています。
この記事では、上高地のおすすめハイキングコースを、周辺で食べられるランチやトイレ休憩ポイント、ハイキングの服装・装備などを含めて紹介していきます。
らくらくコース(約70分)
上高地のハイキングで、比較的短めならくらくコースは、大正池から河童橋まで(もしくは、逆の河童橋から大正池まで)のコースが王道でおすすめなコースです。
全体の所要時間は、昼食・トイレ休憩などの歩いていない時間を除いて約70分、約3.7kmの行程です。
大正池(標高 1,490m)[トイレ有]-(15分)-田代湿原・田代池-(20分)-田代橋[近くにトイレ有]-(10分)-中の瀬園地-(15分)-上高地バスターミナル[トイレ有]-(10分)-河童橋[トイレ有]
上高地の遊歩道の通行止め
2024年9月に再度上高地に行ったところ、上高地の遊歩道に通行止め箇所がありました。
1つ目は大正池から河童橋にかけての遊歩道で「梓川コース」が通行止めになっています。
「梓川コース」は全面通行不可なので、代わりに「林間コース」を歩くことになります。
2つ目は、河童橋から明神橋までの区間で、小梨平から明神までの左岸歩道が通行止めになっています。
こちらは、小梨平キャンプ場までは通行可能で、その先が進めなくなっているようです。
代わりに、河童橋から明神橋までは岳沢湿原を経由する左岸歩道を歩くことになります。
大正池
スタート地点は、シャトルバスの停留所にもなっている大正池です。上高地は開山されている全期間でマイカー規制が実施されており、シャトルバスまたはタクシーに乗り換えて入山することになります。
シャトルバスは長野県側のさわんど(沢渡)バスターミナルと、岐阜県側の平湯バスターミナルから、それぞれいくつかの停留所を経て、上高地バスターミナルまで結んでいます。
マイカー規制区間にもいくつかの停留所があって、その中のひとつに「大正池」があります。
大正池は、気温の低い朝方だと、靄(もや)がかかった幻想的な風景を見ることができます。
大正池の周辺からは、焼岳(2,455m)を望むことができます。焼岳は、上高地の中で日帰りで登山ができる山として人気のある山です。
なお、焼岳は活火山で、2022年5月に、噴火警戒レベルが1から2に引き上げられたりしましたが、その後、7月には、レベルが2から1に引き下げられています。
田代湿原・田代池
大正池から、15分ほど歩くと、田代湿原・田代池に到着します。
田代湿原からは、前穂高岳、奥穂高岳、明神岳などの穂高連峰を望むことができます。
上高地に流れている水はめちゃくちゃ透明度が高く、きれいな水が流れています。田代池は水深が浅いので、特に水の透明度の高さがよくわかる池です。
田代湿原からしばらく歩くと、梓川コースと林間コースの分岐点が出てきます。どちらのコースを選んでも、田代橋の手前で合流するので、所要時間的にはどちらのコースも同じです。
おすすめは、梓川コースです。梓川コースの途中には川の近くに降りて、川で水遊びができるスポットがあります。
田代橋
田代湿原から、20分ほど歩くと、田代橋に到着します。
田代橋から河童橋までの間は、梓川の右岸を通るコースと、左岸を通るコースにわかれています。
梓川の右岸(北側)を通るコースは、上高地温泉ホテルやウェストン碑などがあります。
一方、梓川の左岸(南側)を通るコースは、中の瀬園地、上高地バスターミナルを通ります。
おすすめは、中の瀬園地に降りて、梓川に近づくことができる左岸コースです。右岸コースは、ウェストン碑を見学したい場合や、上高地温泉ホテル・上高地ルミエスタホテルなどでのランチや食事を考えている場合におすすめです。
今回は、左岸コースを選びました。
トイレ休憩
田代橋のすぐそばに、公共のトイレがあります。
中の瀬園地
田代橋から10分ほど歩くと、中の瀬園地が見えてきます。
中の瀬園地は、梓川の流れの中にある平らな浅瀬で、川の近くまで近寄ることができます。
河原でちょっとした水遊びや休憩をとることができます。
梓川の川の水は本当にきれいで、ひんやり冷たいので、裸足やサンダルで水に浸かっている人もいました。
上高地バスターミナル
中の瀬園地から、左手に梓川、穂高連峰を眺めながら15分ほど歩くと、上高地バスターミナルが右手奥に見えてきます。
上高地バスターミナルには、観光センター、上高地食堂、売店、おみやげ屋さん、手荷物預かり所、公衆トイレが集まっていて、利便性が高いため、昼食時など立ち寄ることをおすすめします。
上高地食堂では、信州名物の山賊焼きカレー(¥1,200円)と、山菜きのこそば(¥950円)をいただきました。
「山賊焼き」はとり肉に、ニンニクのきいた醤油ダレのころもがついた揚げ物料理で、お肉料理としてはスタミナ系のうまさです。
河童橋
上高地バスターミナルから10分ほど歩くと、上高地の有名な名所である河童橋に到着します。
おすすめスイーツ
河童橋にある五千尺ホテルが運営する、スイーツカフェ&バー LOUNGE のレアチーズは上高地の名物スイーツとして有名です。
実際に食べてみると、甘すぎずサッパリした味で期待どおりのおいしさでした。上にかかっているラズベリーソース(?)の甘酸っぱさも程よくて、ソースなしとソースありの2種類の味を楽しむことができます。
ケーキ自体も写真で見ていた感じよりもひと回り大きく、食べごたえもありました。
レアチーズケーキ単品 ¥760円、ケーキセット(ドリンク&ケーキ) ¥1,360円
そして、コチラは季節限定のいちじくケーキです。
季節ごとの旬な素材を使った期間限定ケーキも楽しむことができます。
いちじくケーキのいちじくはそれ程甘味は感じませんでしたが、その下のクリームがなめらかな程よい甘みで、一緒に食べるとちょうどよい甘さでした。
総じて、五千尺ホテルのレアチーズは本当におすすめなスイーツです。
上高地では、このほかにも、河童橋近くのトワサンクの完熟リンゴパイと、明神橋近くの山のひだやに併設されているカフェ・ド・コイショの日替りスイーツは、上高地の中でも評判の高いおいしくて有名なスイーツです。
らくらくコース(約70分)の行程は以上で終わりです。
このあとは、上高地バスターミナルまで戻り、そこからシャトルバスに乗車して上高地をあとにする流れになります。
もう少し、長い時間、上高地のハイキングを楽しみたい場合には、このあとの「欲張りコース」に続きます。
欲張りコース(約2時間)
上高地のハイキングで、欲張りコースのハイキングコースは、上記のらくらくコースに続けて、梓川上流部にある明神池まで行って戻ってくるコースになります。
上高地の梓川上流部をひとまわりして、道中の名所をめぐる欲張りなコースです。
全体の所要時間は、昼食・トイレ休憩などの歩いていない時間を除いて約2時間15分、約7.0kmの行程です。
河童橋[トイレ有]-(5分)-小梨平キャンプ場[トイレ有]-(50分)-明神館(標高 1,530m)[トイレ有]-(10分)-明神橋-(5分)-山のひだや・嘉門次小屋[トイレ有]-(1分)-穂高神社奥宮・明神池-(50分)-岳沢湿原-(15分)-河童橋[トイレ有]
前半のらくらくコースとあわせると、3時間半ほどになります。ここに、昼食や休憩を加えると、日帰りでゆったり上高地をハイキングするには十分なコースになります。
小梨平キャンプ場
河童橋から上流側に5分ほど歩くと、小梨平キャンプ場に到着します。
小梨平キャンプ場は、テントやケビンと呼ばれる山小屋で宿泊できる上高地にあるキャンプ場です。
明神館
小梨平キャンプ場から50分ほど歩くと、明神館に到着します。
明神館では食事・飲み物が買えるほか、近くに公衆トイレもあるので、休憩場所にはぴったりです。
明神橋
明神館から歩いて10分ほど歩いたところに、明神橋があります。
明神橋が、このコースの折り返し地点となり、この後は、梓川の下流方向に向けって歩いていきます。
山のひだや・嘉門次小屋
明神橋から歩いて5分ほどのところに、山のひだや・嘉門次小屋があります。
山のひだやは宿泊ができる旅館で、カフェ・ド・コイショが併設されており、コーヒーや日替りスイーツを食べることができます。
嘉門次小屋では、名物の岩魚(イワナ)やお蕎麦、おでんなどを食べることができます。
おすすめは、嘉門次小屋の岩魚の塩焼き(¥1,100円)です。「頭から尻尾まで食べられます」と説明を受けます。いざ食べて見ると、皮はパリパリで香ばしく、身はホロホロで、魚の臭みはまったくなく、アッという間に完食です。
さらに、嘉門次小屋では、無料で飲料水をいただくことができるのと、すぐとなりに公衆トイレがあります。なので、もし、水筒が空になってしまったら、ここで無料で給水することができます。
穂高神社奥宮・明神池
山のひだや・嘉門次小屋から歩いて1分、ほとんどとなりに、穂高神社奥宮があります。
穂高神社奥宮は、日本アルプス総鎮守と崇められ、古く1770年頃には既に社殿が建立されていたと考えられています。「上高地」の語源は「神が降り立った地…神降地」とも言われ(※所説あります)、山の安全を祈願する多くの人々に信仰されています。
奥に見える山は、明神岳(2,931m)です。
明神池は、標高1,520mにありながら、湧き出ている水の影響で、冬季でも全面結氷しない池です。
穂高神社奥宮の境内のお参りは無料ですが、明神池の拝観料は¥500円となっています。明神池は上高地のパワースポットとしても有名な場所なのです。
明神池は別名「鏡池」とも呼ばれていて、穏やかな水面に空や山が写り、神秘的な景観をつくり出しています。
岳沢湿原
穂高神社奥宮、明神池をあとにして、河童橋方向へ歩くこと約50分で、岳沢湿原に到着します。
岳沢湿原から15分ほど歩くと、ホテル白樺荘、その先に河童橋が見えてきます。
これで、欲張りコースの全行程は終了になります。
上高地から下山するときは、河童橋から歩いて5分にある、上高地バスターミナルでシャトルバスに乗車して下山することになります。
上高地入山の注意点
上高地の基本情報です。
- 標高:約1,500m
- 8月の気温:15℃~25℃
- 開山期間:例年4月下旬~11月中旬まで。冬季は閉山。
- マイカー規制あり、上高地に入山するにはシャトルバスかタクシーに乗り換えなければならない。
上高地に入山する際の注意点はコチラです。
上高地で宿を探すなら
上高地は山岳リゾートであり、マイカー規制されています。上高地に宿泊することは、マイカー規制地域内に泊まることになるので、シャトルバスの最終の18時~翌朝6時までは上高地に宿泊する人たちだけが体験できる世界です。
上高地の周辺にもホテル・旅館はたくさんあり、白骨温泉、乗鞍高原温泉、さわんど温泉などの温泉地にホテル・旅館が立ち並んでいます。
ぜひ、一度、上高地に宿泊してみませんか?
服装・装備
上高地の今回紹介したハイキングコースは、山岳地域ではあるものの、一部木道が整備されていて、アップ&ダウンも少なく、初心者でも歩きやすいコースです。
ただ、歩きやすいとは言っても、服装・装備はある程度の準備が必要です。
上高地の河童橋までシャトルバスで来て、河童橋周辺のみを少し観光して帰るだけであれば、短パンにサンダルでも大きな問題はありません。しかし、ハイキング目的で何時間も上高地の山道を歩くのであれば、服装・装備は慎重に選びたいものです。
サンダル・ヒールよりもスニーカーよりもトレッキングシューズ
上高地のハイキングコースは、歩きやすい木道が整備されている箇所がありますが、基本は山道で、砂利や泥の道も多いのです。
サンダル・ヒールでも歩けなくはありませんが、長時間歩いたときに足を傷める原因にはなりそうです。スニーカーでも歩けなくはありませんが、ソールが薄いスニーカーだと、石の上を何時間も歩くと足つぼマッサージされているかのように足裏が痛くなってしまいます。さらに、上高地は湿原があり、濡れていて滑りやすい箇所もあるので、滑るソースのスニーカーは危険かもしれません。
そのため、可能であれば、登山用のトレッキングシューズが疲れにくいし、歩きやすいと思います。
以下は、参考までに紹介していますが、トレッキングシューズは実際に履いてみて、足のつま先、足の横、甲が靴のソールに当たらないことを確認してみることをおすすめします。
半ズボン、スカートよりも長ズボン
上高地は、真夏の8月でも、最高気温が25℃と涼しい環境です。標高が高いので寒暖差もあります。そのため、ハイキング・トレッキングするのであれば、半ズボンやスカートよりも長ズボンをおすすめします。
トートバッグよりもリュックサック
カバンは、トートバッグのように片方の肩にかけるタイプのカバンではなく、リュックサックのように両肩で支えるタイプのカバンをおすすめします。
アップ&ダウンは少ないですが、所々に登り坂や不安点なつり橋がでてくるので、片方に掛けるカバンだと不安定だし疲れやすいためです。
帽子
日焼け予防のために、帽子はなるべく被って行くことをおすすめします。上高地は標高1,500mと高く、紫外線も平地より強くなりますし、長時間のハイキングでは浴びる紫外線量が多くなるためです。
くま鈴
上高地周辺は、ツキノワグマの生息地で、付近での目撃情報も出ています。
そのため、くま鈴を持っていくことをおすすめします。くま鈴は、クマに音で人間の存在を知らせて、近づいてこないようにさせるための鈴です。
ただ、上高地の混雑シーズン中は、ハイキングコースにはたいてい他のハイカーも大勢いるので、必要ないです。