「森林セラピー」という言葉を聞いたことはありますか?
森林セラピーは、森林を活用した心理的・物理的な療法で、森林を楽しみながら、身体の健康増進、病気の予防、ストレスの解消などを目的としたリラクゼーションです。
森林セラピーの効果は、リラックスしすぎて寝落ちしてしまうほどの効果があります。それから、当日に寝違えた肩コリと頭痛が治った体験をしました。さらに、体験したあとで、自身の健康のために、自然をうまく活用する意識が芽生えたことが大きいと実感しています。
この記事では、奥多摩で開催されている森林セラピーの体験ツアーの内容を紹介するとともに、森林セラピーの効果や後日談、ツアーに参加する場合の装備などについて解説しています。
「森林セラピー」とは?
「森林セラピー」という言葉は、「森林」と「セラピー」をくっつけた造語です。
「セラピー」は、治療や療法を意味しており、特に薬や手術などではない心理的・物理的な療法の意味合いがあります。
つまり、「森林セラピー」は、森林を活用した心理的・物理的な療法で、森林を楽しみながら、身体の健康増進、病気の予防、ストレスの解消などを目的としたリラクゼーションなのです。
そして、「森林セラピー」は、科学的な根拠を取り入れて構築されていることも特徴のひとつです。
なので、森林の緑や空気が人間に与える影響を研究した結果を元に、体験コースが組み立てられています。
そもそも人間は、森の緑や川のせせらぎに癒される傾向があることはなんとなく自然なことだと多くの人が認識されていることだと思います。
そのことをより身近に、よりわかりやすく体験させてくれるのが「森林セラピー」なのです。
ツアーの内容
森林セラピーは、近年認知度が高まり、人気が出てきているアクチュエータです。
はじめて体験する場合は、専門のツアーに参加することをおすすめします。
森林セラピーは科学的に実証された効果があり、専門のツアーで有識者から説明を受けることでより理解が深まり、普段の生活の中にも生かせることが学べると思います。
森の中には、クマやスズメバチなどの危険な動物・昆虫もいることもあるので、そうした危険回避の行動の知識がない場合にも、専門のツアーに参加することをおすすめします。
今回は、おくたま地域振興財団が主催している森林セラピーツアーに参加してみました。
奥多摩の登計(とけ、と読みます)地区にある「登計トレイル」が今日のツアー場所です。
集合場所は「奥多摩駅」でした。
最初に受付とガイダンス説明があり、さっそく愛宕山に向かって歩きはじめます。
奥多摩の愛宕(あたご)山(標高507m)の周辺にセラピーロードが整備されていて、そこに向かいます。
途中、多摩川の河川敷に降りて、川のせせらぎと水の冷たさを体感するワークをします。
奥多摩などの木々が茂る山では、遠くにみえる景色が、青っぽくかすんで見えることがあります。これは、森から発生するフィトンチッドのために、かすんで見えるのだと教わりました。
フィトンチッドとは、植物に侵入しようとする有害な微生物(菌類や細菌)、有害な昆虫から身を守るために、植物が自己防衛のために放出する物質です。フィトンチッドは植物の根っこや幹に含まれており、森林では葉っぱから外に向かって放出されています。フィトンチッドには、殺菌効果、防腐効果、防臭効果などがあるとされ、空気を浄化する働きがあります。そのため、森林の中は湿度が高くてもカビは生えず、雑草は生えにくいのです。木々の周辺にカビや雑草を生やさせなくしている理由は、自らの生存領域に他の植物が侵入するのことを防ぐため、いわゆる自己防衛のためだと考えられています。
ちなみに、フィトンチッドの香りは繊細なため、感じ方は人それぞれですが、個人的にはグリーンガムをうすーくした感じに近く、清涼感のある香りです。
森の中に入ると、木の幹や葉っぱを直接手で触る、落ち葉や土の感触を足裏で感じてみるワークがありました。
普段、木の葉っぱを触ることなど考えたこともありませんが、実際触ってみると、植物の種類によって、硬い葉っぱや柔らかい葉っぱ、すべすべした葉っぱなどの違いがあることに気づかされました。
登計トレイルのステーションという小屋で、昼食とトイレ休憩になりました。お昼のお弁当は、地産地消の食材を使ったおかずのお弁当で、おかずの種類も多く、味もとても美味しかったです。
登計トレイルには、ほかにも、おやつ休憩で利用した別のステーションもあり、適度に休憩がはさまれていました。なので、体力に自信のない方やトイレが近い方にもおすすめなツアーです。
お昼休憩を終えたら、いよいよ、アカマツ・スギの森の中に入っていきます。
森林セラピーでは、体の五感を使い、自然と対話することを教わります。
森の香り、鳥たちのさえずり、ほおに当たる風、落ち葉や枝を踏みしめる感触と音、木の幹や葉っぱに触れた感触・・・
こうした五感をフルに使って森を感じ、リラックス効果を倍増させるのです。
ツアーの最後の方で、ウッドデッキにマットを敷き、仰向けで寝ころぶというワークがありました。周囲は木が立ち並ぶ森の中、鳥の絶え間ないさえずり、フィトンチッドの香り…、目を閉じると誰もがすぐに眠りに落ちてしまうのでした…
スギ林の地面には、確かに雑草は生えていません。ジメジメした感じはあるのにカビは生えていません。
森の中では、シャガの花や、スギの赤ちゃんなどを観察することができました。
鳥たちは、オオルリ、キビタキなどたくさんの種類の小鳥が、美しいさえずりを聞かせてくれました。写真に収めることはできませんでしたが、常に周囲で鳴いていました。
そして、奥多摩には「ムササビ」も生息しています。
残念ながら、ムササビは夜行性で、日中帯はあまり行動しないそうで、今回も姿を見かけることはできませんでした。
たくさんの植物、動物、自然に触れられたツアーでしたが、約5時間に及ぶツアーの終了です。
最後は、終了ガイダンスを受けて、解散になります。
「森林セラピー」を受けた効果は?
森林セラピーを受けてみて一番の感想は身も心もリフレッシュできました。
実は、森林セラピーのツアー参加の当日の朝、寝ちがえてしまい肩コリと軽い頭痛がしていたのですが、ツアー参加中に気が付いたら、肩コリも頭痛も自然となくなっていたのです。
フィトンチッドには、殺菌効果や防臭効果がありますが、人間の体の調子を整えるリラックス効果もあるとされています。フィトンチッドの香りのリラクゼーション効果で(?)、肩コリ・頭痛が治ったとしたらすごいことです。
ツアー中、何回か座ったり、仰向けに寝ころんだ姿勢になって、目を閉じて森の香り、鳥のさえずり、空気を感じる体験コーナーがありました。
目を閉じる体験コーナーでは、全員、寝落ちしていました。
フィトンチッドと鳥のさえずりにはリラックス効果と、人間をやさしく眠りにつけてくれる効果があると実感した瞬間でした。
夜になかなか寝付けない、眠りが浅いなど、睡眠に悩みがある場合は、森林セラピーの体験してみるのも良いかもしれません。
参加するときの装備は?
「森林セラピー」のツアーは、林道や登山道を長時間歩きます。
そのため、トレッキングシューズが歩く安くて、疲れないのでおすすめです。
以下は、参考までに紹介していますが、トレッキングシューズは実際に履いて、足のつま先、横、甲が靴のソールに当たらないことを確認してみることをおすすめします。
ズボンとトップスは動きやすい、着慣れたものがおすすめです。
日焼け予防のために、帽子はなるべく被って行くことをおすすめします。
カバンは、肩掛けタイプではなく、両肩に均等に荷重がかかるリュックサックがおすすめです。所々に急な登り坂や急な階段がでてくるので、肩掛けカバンだと不安定だし疲れやすいためです。
後日談
森林セラピーのツアーに参加したあとは、日常的に自然を感じてみることに意識が向くように変わりました。
フィトンチッドの香りの効果で(?)、肩コリと頭痛が治った体験をしてしまったため、フィトンチッドの香が近所でしないものかと探すようになってしまいました。
そして、公園の木々が生い茂っている中で、今までは感じなかったフィトンチッドの香りがわかるようになりました。
今までは分からなかった香りが、わかるようになり、自身の健康のために自然をより活用できるようになった気がします。
森林セラピーツアーの探し方
森林セラピーのツアーは、全国の森林でさまざまなツアーが開催されています。
今回紹介した奥多摩の森林セラピーのツアーは、コチラの公式サイトから申し込むことができます。
神奈川の山北町、西丹沢の自然あふれる森でも、森林セラピーのツアーがあります。詳細はコチラです。
箱根・九頭竜の森(九頭竜神社)にも、セラピーロードが整備されています。
九頭竜の森セラピーロードについては、コチラの記事が参考になります。